バギオ 酔いどれ日記

バギオのコーヒー事情【酔いどれ日記】

はじめに

約2年前に書いた書いた記事(=日記)が埋もれていた。

 

せっかくだからフィリピンに行きたいと言う思いと共にリライトして公開する。

 

 

今後は酔いどれ日記カテゴリーも増やしていくつもり。

理由は思い出を振り返りたいから。

完全に自分用。

 



 

 

 

バギオのコーヒー事情

いきなりだけどバギオってさ。

皆コーヒーに砂糖とミルクを入れるんだ。

そんなだから、フィリピンの友人にブラックが好きだって言った時もあった。

だけど、「そんな奴はいない」と人外認定された。

 

いやね。全然いいんだ。

 

俺はブラックで飲むだけだから。

お前の中ではミルクコーヒーが志向なんだろ。お前の中ではな。

そう心の中で、いつも呟いていた。

 

 

 

だけど最近のバギオでは、俺がどれだけ『砂糖無しミルク無し』って頼んでもぶち込んでくる。

砂糖とミルクを。

 

発音の問題なのか。

 

「君は発音だけは上手いな」

ってよく褒められていたのに。

 

 

 

ここフィリピンでは、どうやらブラックで飲む習慣が無いみたいだ。

そんなコーヒー事情について聞いてほしい。

2周間前にもっと酷いことがあったから。

 

 

 

 

 

「アメリカーノコーヒーのラージ、砂糖無しミルク無しのアイスで。」

この日も俺は、行きつけの喫茶店へ赴いて、近くに居た店員にそう話しかけた。

 

「オ、オッケーサー!」

初めて見る青年だった。

きっと新人だろう。

 

そんな彼の緊張してる顔が初々しくて、俺は笑顔で彼を見送った。

 

 

その5分後に、ホットコーヒーを持って彼はやって来た。

 

「あー、すみません。俺アイスコーヒーを頼みました。」

俺はそう笑いながら指摘した。

 

「Oh オッケーサー」

店員は驚きながらも申し訳なさそうな顔をして、ホットコーヒーと共にキッチンへ戻って行った。

 

俺もよく間違えるし、こんなことではイライラしない。

 

そう思いながら、手元に置いてある英単語帳に目を通し始める。

 

 

数ページ読んだ後、カウンターの方が気になり、ふと顔を上げた。

後ろ姿の彼が見える。

 

お、もうそろそろ来るかな。

 

偶然なのか準備を終えた彼が振り返り、俺の顔を見る。

俺は彼の持っている飲み物を見る。

 

うん、彼はカフェオレを持って来ようとしていた。

 

 

おい、ぶっ飛ばすぞ。この野郎。

 

俺はそう思いながらも、すぐさまカウンターへ行くことにした。

もちろん笑顔は絶やさない。

 

カウンターへ来た俺に、青年は驚いていた。

 

「何度も本当にすみません。砂糖とミルク無しのブラックコーヒーを頼んでるんですけど…」

 

そう言うと彼は思い出したかのように、

「すみません…オッケーサー」

と言い、苦笑いをしていた。

 

その後、青年は紙とペンを取り出して俺の注文を書き始めた。

 

今さらか。とは思わない。

むしろその真面目にメモを取る彼の表情を見て、自然と口角が緩んでしまう。

 

そんな中、彼の胸元にあるネームプレートが目に入った。

ほお、クリス(仮名)って言うのか。

そう思いつつ、

「念のためもう一度言いますね。砂糖無し、ミルク無しのブラックコーヒーです。」

と俺は復唱した。

 

「…オッケーサー!」

 

彼は俺の言ったことを急ぎながらも丁寧に二度書いた。

 

そんな姿を見たからか、彼…クリスならやってくれる。

そう思い、席へと戻って行った。

 

そして途中だった本に目を通し始める。

 

 

 

 

「ノアさん!!!」

少ししたら、クリスが笑顔で戻って来た。

 

待ちに待ったアイスコーヒー。

500mlのラージサイズを注文して良かった。

今日はギリギリ飲めるだろう。

 

そう思いつつ俺も、

「クリスさん!!!」

と叫んでいた。

 

 

 

クリスは笑顔で戻ってきた。

 

ラージブラックコーヒー2本と共に。

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